独りでフランスでのインターンシップ先を見つけることは、ビザ取得問題を含めて、とてもハードです。
そうした理由から、日本人がフランスの日系企業の現地法人でインターンシップするケースが増えています。
今回は、現地のリアルな目線で、フランスの日系企業でインターンシップする際の長短をお話ししたいと思います。
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フランスにある日系企業の数
フランスでは、日系企業が約500社(2017年現在)が存在すると言われ、また、その日系企業の拠点も約760箇所ほど設置されているそうです。
日系企業とは、資本を日本の本社が出資している海外法人の会社企業が主に考えられますが、会社の規模、大きさは別として、現地で日本人が経営している会社企業も含まれます。
そうして見ると、フランスには、こうした統計調査に含まれていない多くの数の日系企業が存在することになります。
フランスでの会社の企業形態も複雑で、株式会社、有限会社、また、駐在代表事務所などがあり、商工会議所の調査だけでは、そうした異なる形態で存在する在仏日本人が経営する小ビジネス、商店やレストランを把握することは難しいのです。
近年、特に、フランスにおける日本ブーム、クール・ジャパン効果によって、日本の食品や農業に関するビジネスの進出が盛んです。
また、それは、日本人による日本食を取り扱うビジネスだけに止まらず、日本人によるフレンチレストランやショコラティエをはじめとしたフランス食文化の分野でも日系企業が多く誕生しています。
レストランやホテルの格付けを一つ星、二つ星、三ツ星と表すガイドブックで知られる「ミシュラン」での星付き日本人シェフのレストランも今では25軒を超えるほどです。
経営となるとフランス独自のシステム、共同経営の形態、特に飲食関係は、フランス人との共同経営が多いのが特徴なので、純粋に日系企業とは言い切れませんが、それほど多くの日本人が食に限らず、本場フランスの文化的なハンドスキルの仕事でビジネスを展開しているのです。
また、日本人がフランスに滞在するケースで、フリーランスビザが存在します。こうしたフリーランスとしての労働許可書取得は、大変難しいのですが、フランス人との婚姻によって得られるフランス人と同じ様に仕事も滞在もできる許可書の取得を望まない場合は、たとえ申請条件が厳しくても、このフリーランス労働許可書を取得して、仕事をしながらフランスに住んでいます。
フランスでは、現地法人化した日系企業以外にも、こうした日本人の個人事業主が多く存在しているので、自分が希望する分野や仕事の見習い的要素が強いインターンシップを行いたい場合は、こうした個人事業主であるフリーランスのアーティスト(例えば、パリコレなどで活躍する日本人ヘアーメイクなど)のアシスタント的要素で働く人も多いのです。
ただこうしたアーティスト系の仕事でインターンシップしたい場合は、正式なインターンシップ協定書作成、労働法に沿った規定の時間数、報酬などに関しては、極めて曖昧なグレーゾーンとなっているのが現実です。
例えばですが、インターンシップできるのも、ファッションウィーク(パリコレ)の時期だけとか、仕事があるときだけ呼ばれるという不規則なものが多いのです。
それでも、パリでしか経験できないような貴重な経験は、将来、自分がその業界でアーティストとして独立する場合でも、どこか企業やエージェントに所属する場合でも、とても重要な意味があるのは明らかです。
フランス的好きを仕事にする人のインターンシップ
フランスでインターンシップといえば、フレンチ料理のシェフ、ソムリエ、パティシエ、ショコラティエ、パン職人、フラワーアレンジメント、ファッションデザイナー、建築家、ヘアメーク、カメラマンなどのフランスの文化、好きを仕事にする職人的なものがダントツの人気で、これからもこのような分野でインターンシップを行いたい人は増え続けるでしょう。
上記で説明したように、フランスで、職人的仕事、アーティスト系のインターンシップや見習いをスタートして、経験を積み、最終的には、苦労して自由業者として労働許可書を手に入れたり、独立し起業して活躍している、いわゆる「憧れのフランスでの日本人成功者」になっている人もいます。
ただ、フランス語という言葉の問題の壁があるので、自分一人で最初の第一歩、インターンシップ先を見つけるのは、とても大変です。また、日系企業のインターンシップ斡旋業社に丸投げしてしまうのもいいですが、費用もかかります。
フランスで、本場のセンスや技術を習得するためのインターンシップ先を探すには、語学ができなくても、日本ですでにその業界での仕事の経験があれば、フランスでインターンシップを経験のある先輩たちなどからの情報を得ることもできます。
また、全くの未経験者、フランス語もできない人は、自主的にインターネットを通して、日本語で情報を集めることになるので、大手日系企業はもちろん、在仏日本人が経営する日系企業のショップやレストランなどを調べたり、ブログをフォローしたりして、希望のインターンシップ先に直接、積極的にコンタクトを取って探しています。
実際に、私の所にも、日本人の方からブログを通して、「コーディネーターの仕事に興味があるので、インターンシップをしたいのですが、、、」という問い合わせがよく来ます。
また、不定期ですが、私が日本で開催しているお茶会などに参加してくださる若い日本人女性からもよく、フランスでインターンシップしたいという相談を受けます。
SNSなどでもフランス好きのコミニティーグループがあるので、参加メンバーに加わって、情報交換したり、日本でそうしたコミニティーの集まりミーティングも開かれているので、積極的に参加して、人脈を広げることも今の時代らしい方法ですね。
そして、フランスでは、日本人によるフランスの衣食住に関する文化のビジネス、日系企業が、それぞれの専門的領域、その業界の中のフランス企業以上に、スキルやセンスのを高く評価されています。
ですから、フレンチレストランやパティスリーなどの日系企業でインターンシップをするということは、フレンチと日本の二つの文化の融合による仕事上の技術的センスも学べることになります。
また、同胞の日本人がいる職場、日系企業でのインターンシップでは、言葉のハンデも気になりません。
そして、このような業界の中のインターンシップで働く人たちは、次のステップ、将来の自分の仕事プランを常に考えて行動していますから、職場で貴重なフランスにおける日本人同業者の人脈作りをすることができます。
それは、インターンシップ後、将来、フランスで自分が起業したい場合でも、フランスでインターンシップで働きながらでも、日本や外国からのヘッドハンティングされる上でも、とても大事なコネクションになります。
総合職を目指す人のフランスでのインターンシップ
フランスの大学や大学院に正規留学している日本人学生は、フランス人の学生と同様に必修科目にインターンシップを行わなければなりません。
フランスは、独立心と自立芯の強い、個人主義の国です。フランス人の学生もこうしたインターンシップは、自分で探さなければなりませんし、インターンシップ先も、専攻分野に関する企業でなければなりませんから、簡単に受け入れ先が見つからないと言われています。
親や家族のコネもない日本人の場合は、やはり現地の日系企業、もしくは、多国籍企業などからインターンシップ先を探すケースが多いです。
フランス語やフランス文学を専攻している正規大学留学生ならともかく、フランスのマスターなどの正規留学生の多くは、講義も英語のみで受けるようになっているので、フランス語ができない人も多いのです。
ですから、インターンシップを探す上での履歴書や経歴書をフランス語と英語で求められたり、フランスでは、必ず必要なモチベーションレターもフランス語、英語となると、こうした学生たちにとっては、とてもハードルが高くなります。
フランスは、CV(履歴書)のフォームも独自のオリジナル、自分で作成しますので、フランスの学生にとっては、卒業前に、インターンシップを行うことによって、こうして主体的に就活を実践で学んでいくのです。
ただ単位取得の目的で、日本人正規留学生がフランスでのインターンシップ先を探すには、何もこうしたフランス式でフランス人と同じように、真剣にCV(履歴書)や志望動機書を作成する必要のないやり方が、フランスに存在する日系企業をでインターンシップを探す方法です。
すでに、フランスの日系企業では、積極的に日本人正規留学生を受け入れているところもあるので、日系企業の方が、インターンシップを行うにあったての書類の手続きは、スムーズに進みます。
日系企業でのインターンシップの注意点
インターンシップまでの手続きは、比較的に楽に進めることができるのことが利点の日系企業でのインターンシップですが、全く、海外で働く、フランスで働く雰囲気を味わえなかたり、オフィスは、日本人だらけ、また、職場のフランス人も日本語が流暢だったりで、社内のコミュニケーションは、英語すら使わず、日本語オンリーという環境に身を置くことになるケースがほとんどです。
技術やセンスを経験によって身につける職人的な内容のインターンシップでも、在仏日本人オーナーによる日系企業だと、調理場などの職場は、まるで、日本で働いているのではないかと錯覚するような雰囲気です。
フランスの日系企業と言っても、そこはどっぷり、日本人社会が成り立っています。又、フランスに長く住む現地採用の日本人も多く働いているので、職場のアンビアンスも独特なものがあります。
英語やフランス語を使って、インターナショナルな環境で、インターンシップをしたい場合は、日系企業でインターシップを行うのであれば、そうした経験することは難しいです。
インターンシップの目的がただ単に学位取得だけで、割り切っているのであれば、日系企業でインターンシップ生として受け入れてもらい、その期間は、研修と言っても、どこか外国旅行をしているような気分ですね。ですから、そういうインターンシップでは、得られる実務経験も、差が出てくのではないでしょうか?
優秀な日本人大学生がフランスに正規留学として、人生のチャレンジをしているわけですから、インターンシップ先を見つけるのが大変でも、語学力と専門的知識を使えるような、日系企業以外のグローバルなインターンシップ二参加することに本当の意味があるように思います。
フランスでの正規留学を終え、輝かしい学歴を得ても、実際に使える英語や他の語学のコミニケーションやマナーが全く身についていない日本人学生も本当に多く見てきました。
言葉は、伝わる、使えなければ、役に立ちません。CV(履歴書)上に書かれた資格やスコアより、実体験で使える外国語を習得するいい機会なのが、インターナショナルな環境でインターンシップをすることですから、インターンシップに参加する時間を有意義に使うべきです。
将来的に外資系企業や多国籍企業に就職を考えている人は、日系企業でのインターンシップなどをせず、絶対に、そうしたグローバルな企業で受け入れ先を見つけるべきです。
また、正規留学で学位取得後、日本に帰国し、日本企業に就職する予定でいる人は、フランスでのインターンシップも日系の大企業系を選ぶ傾向があるようです。
また、そうした場合は、フランスに進出している有名な日系企業ブランドでインターンシップを行うことによって得られるコネクションや経歴は、帰国後の日本での就活に生かすことができるようです。
まとめ
このように、フランスの日系企業でのインターンシップは、それぞれの個人の目的次第によって、良い点も、悪い点もあることがおわかりいただけたと思います。
日本は、どうしても、外国といえば、アメリカ主流です。日系企業の数もフランスとは比べものになりません。
フランスは、まだ、遠い国で、言葉もフランス語ということで、敷居が高いイメージですから、フランスのインターンシップ事情は、日本では、全く知られていません。
ですから、少ない情報であれば、なおさら、そして、語学に自信がない人なら、まずは何より最初のステップとして、フランスの日系企業でのインターンシップ先を探すのがベストな方法です。
フランスにある日系企業も大手から規模の小さい在仏日本人経営の会社とそのタイプも異なるのでまずは、インターンシップの後のキャリアプランを明確にして、そうした日系企業の中から、自分に合うインターンシップ先を見つけてください。
そして、最終的には、日系企業でも、そうでなくても、内容の濃いインターンシップとなるかどうかは、すべては、本人次第なので、しっかり目的を持って頑張っていただきたいです。