フランスは地方色豊かな国で、各地によって気候から文化も習慣も歴史もかなり違いがあります。そんなフランス観光で、人気なのが地中海沿岸沿いのフランス南部プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏です。
今回のブログでは、芸術に触れることを目的とした南フランスのアルルの観光スポットを、私の好き勝手に解剖してみました。サックリ読んでいただけたら嬉しいです。
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アルル生まれのフランスを代表するデザイナー
フランスのファッションデザイナー、クリスチャン・ラクロワは、80年代のモード界に旋風を巻き起こしました。次々に発表される彼の創造性に富んだ派手やかなフォークロワ調の洋服などを見て皆んなワクワクしたものです。
でも、一体、誰が着るのかしら?と思ってしまうようなコレクションでもありました。必ずしも着れる服、売れる服ではなかったので、ブランドビジネスとしての成功は難しかったようです。
彼のファッションデザイナーとしてのバイオグラフィ−は、ネットやファッション誌に沢山出ているので、ここでは、芸術的なアルル観光をするのに役に立つアルルとラクロワの繋がりについて調べたことを書いていきますね。
クリスチャン・ラクロワは、1959年、フランス南部アルルのプチ・ブルジョワ家庭の息子として生まれました。地元アルルの建設機械会社のエンジニアで闘牛とデッサンに余暇を費やしていた父親の影響を大きく受けて育ったそうです。
アルルは、世界遺産にも登録されている円形闘技場があり、闘牛も有名です。(アルルの闘牛については、後で述べたいと思います。)
ラクロワのアクセサリーの闘牛の頭のモチーフのブローチから、彼の故郷アルルへの思いや関わりが感じられます。
温暖な気候の南フランスの色彩豊かな街アルルで、幼少期のラクロワは、同じアルル出身の17〜18世紀の画家、アントワン・ラスパイユの絵画「L’Atelier de Couture a Arles 」=(アルルの縫製アトリエ)に出会い、インスパイアされます。
当時のアルル地方の衣装を身につけた縫製工場の女工たちと壁にかけられた既製ドレスが描写されているその絵は、その後の彼の人生を決定づけるものとなりました。
このラクロワに影響を与えた絵画は、現在、アルルにあるレアチュー美術館(Musée Réattu)に展示されています。また、一緒にラクロワの衣装も飾られいます。
まずなにより私が一番最初にお勧めしたいアルルのアート観光名所は、このレアチュー美術館で、私としては、アルルに行ったら、ココは、見逃せません!
ラクロワが感化された画家のアントワンヌ・ラスパイユの甥っ子で同じ画家のジャック・レアチューから美術館の名前がつけられています。画家としては、レアチューの方が知名度が高いようですが、私は、断然、ラスパイユ派です。彼の描いたアルルのマダム達が身に纏っているドレスから当時の女性ファッションを見ることができ、興味を掻き立てられます。
この絵画コレクションで描写されているアルルの女性が着ている着物のような前合わせのドレスからは、ラクロワのトップスの特徴的な前合わせシルエットをイメージさせられます。
レアチュー美術館には、ピカソの作品、ゴッホがゴーギャンに書いた手紙などのが出品されている他、1965年にフランスで初めてプライベートフォトグラフの展示ルームを設けた美術館ということもあり、現在もリチャード・アドヴェンやマン・レイなど、その数なんと400点もの写真が展示されています。
また、毎年、夏、欧州最大規模の国際写真展がアルルで開催されています。
そのメイン会場としてレチュー美術館が使われる他、現代ファインアートなどの企画展がオルガナイズされています。
クリスチャン・ラクロワは、大学で美術史を勉強した経歴を持つ芸術家肌のファッションデザイナーで、色彩感溢れる美しい彼のデザイン画は、まるで一つ一つがアート作品のようです。
彼のデッサン画やイラスト挿絵などは、今までさまざまなかたちで発表されているので、目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
2008年に、彼の衣装やデザイン画を集めてラクロワのモードとアートのコラボレーション展覧会が、彼のルーツ、このアルルのレアチュー美術館で盛大に開催されました。そしてその後から現在までラクロワがレアチュー美術館の運営を任されていると聞いています。
また、歴史的建造物オタクなら、15世紀にマルタ騎士団よって建てられた修道院をリノベーションした美術館の建物とローム川の絶景ロケーションも堪能することができます。
フランスには、貴重な歴史的建造物に、世界的建築家やデザイナーが手がけた建物などがたくさんありますね。たとえ難しい建築技術のことがわからなくても、美しい建造物の鑑賞観光だけでも十分に行く価値があるのが南フランスのアルルです。
アルルで外せない観光はやっぱりゴッフォ巡礼
一年のほとんどの日に太陽が降り注ぐフランスの南にある小都市アルルは、プレ印象派の画家、ゴッフォのゆかりの地として有名ですね。いくら美術に疎い人でも、どこかでゴッホの作品を目にしたことがあると思います。
オランダ人のゴッホは、1888年2月から15ヶ月間をこのアルルの地で暮らしました。フランス人画家ゴーギャンと共同生活をおくりますが上手くいきませんでした。
二人が喧嘩別れになった時、ゴッホは自分の耳を切り落としてしまい、アルルの精神病院に入院します。退院後はアルルから弟のいるパリ郊外に移り住み、数年後、ピストル自殺し生涯を終えました。
彼のこのようなヤンデレ人生の中で、一番エネルギッシュな創作活動期を過ごしたのがここ、アルルです。「ひまわり」や「夜のカフェテラス」「跳ね橋 」などの200点以上の絵画を制作しています。
「夜のカフェテラス」で描かれた黄色いカフェは、今も街の中心地で営業しています。アルルの観光に疲れたら、当時の雰囲気が漂うこのカフェ・ヴァン・ゴッホでひと休みもよいですね。
また、アルルの中心部から少し離れた所に名画「跳ね橋」の橋が再現されています。本物ではないにせよ、その橋を見たら、グッと感動してしまうものです。
この橋の観光に便利なのはタクシーです。街から少し遠いので、歩くと結構大変、疲れちゃいます。時間と料金もそれほどかからないタクシーを使うのがベターです。。
ほかにアルルのゴッフォ聖地巡礼観光で訪れることができる場所に、彼の入院先の病院があります。現在は「エスパス ヴァンゴッホ」と言う文化センターになっていて、中庭には、ゴッホの絵画「アルルの療養院の庭」が再現されています。施設内には、図書館や多目的ホールなどが入っていて、観光お土産グッズも販売しています。
ゴッホ没後125周年記念の年、2014年にオープンした比較的新しいアルルのゴッホ観光スポットが、文化遺産建造物のを修復して作られた「ゴッホ財団美術館」La Fandation Vincent Van Gogh Arlesです。
このミュージアムでは、ゴッホの作品が収蔵されてある他、現代アーティスト達によるゴッホへのオマージュ作品も展示されているようです。
私は、まだ、訪れたことがないですが、ココは、今の私のフランスで行ってみたい!アートイヴェントも斬新で面白そうです。
南フランス、アルルのゴッホ観光をしながら、脳内の妄想スイッチをオンにして、独り善がりな考察をするのも楽しいです!(笑)
ゴッホとゴーギャンとのアルルでの共同生活は、彼らが思い描いていた理想からかけ離れ、まったく上手く行かず、お互い精神的にかなり追いつめられてしまいました。そしてあの悲惨なゴッホの耳切事件発生がしてしまいます。
私の勝手な見方ですが、ゴッフォは純粋で繊細、また、かなり難しくひねくれた性格だったと思いますし、ゴーギャンは、結構上から目線だんじゃないかと。お互い超個性が強そうですからね。
彼らがBLだったどうかの考察もゴッフォファンからされていますが、その辺は一応否定されていますが、不透明な感じもしますね。私は、多分、一緒にいる時は、そのような精力的?な関係であったように思います。
とすると、二人とも両性愛者のバイになりますが。ゴッホのファンのこうした妄想考察が嫌いな方から怒られそうで。
そんなゴーギャンから大きく影響を受けて、ゴッホがアルルで描いた絵画が、私の好きな「アルルの女」です。
パリで私がするアルルのアート観光があります
私にとっての「アルルの女」と言えば、バレエ。そして、フランスは、世界最高峰のバレエ団、パリオペラ座バレエ団と絢爛豪華なパリオペラ座ガルニエ劇場があります。通称ガルニエは、世界一美しい劇場と言っても過言ではありません!
劇場オタクで欧州のシアターは、かなりの数のバレエ公演の観劇で訪れましたが、やはり、ベストワンの美しさはガルニエです。このガルニエ内の観光見学は上演日以外の日中にできます。
やはりガルニエを観光見学をするなら、バレエやオペラを観劇して、上演の休憩時間中にガルニエ内を見物することをお勧めします!最近のパリオペラ座バレエチケットの値上がり感はハンパないんですが。(涙) それでも人気演目チケットは入手が難しいのも困りものです。
日本からのバレエファンは、まず、パリオペラ座のネットチケット発売と同時に大人買いして、それに合わせてフランス観光旅行の手配をしてます。よほどのバレエ好きでなければ、そんな旅行計画はリスク大で恐いですよね〜。
そうだとしても、やはり夜のパリ観光の一押しはこのガルニエ観劇コースです。バレエやオペラに疎い方でも、一度は、是非、夜のガルニエを観ていただきたいです!
前売り券をゲットしていない方にも、夜のガルニエ観光のラストチャンスが。ダメもとで18:00に発売される当日券狙いもありかなと。列ぶのは覚悟の上ですけど。
バレエの「アルルの女」は、フランス人の振付家ローラン・プティの振り付けによるもので、ガルニエで何度か観ています。作曲家ビゼーによる組曲1と2「アルルの女」の上演は40分弱です。
クラッシック音楽をよく知らない人でも、組曲「アルルの女」を聴けば、すぐに「この曲、知っている!」とわかるはずの有名な曲です。こちらのyoutubeをクリックして聴いてみて下さい。
だいたいのバレエのストリーは、男女の恋のもつれ、男性が恋人や婚約者がいながら、他の美しい女性に心を捕われてしまい・・・最後は悲しい結末で終わるというパターン。(まぁ、、ただ、男性がちょっぴりお馬鹿さんなんですけどね、、笑)「アルルの女」もまさにソレです。
そして、黒のコスチュームを着たコールドの女性ダンサー達とアルルの黄色い風景画のバックは、ゴッホの「アルルの女」をイメージした舞台装飾です。フランス芸術の頂点を極めるパリオペラ座バレエ、その全てのセンスは、さすがです。
ゴッホの「アルルの女」は、観光人気の高いパリの印象派美術館、オルセー美術館で見ることが出来ます。オルセー美術館は、ゴッホのアルル時代の作品(入院時の制作も含めて)計7点の作品を収蔵しています。
ゴッホの「アルルの女」は、南フランスのアルル地方の伝統的な黒い衣服を着ているカフェのオーナー、ジヌー夫人がモデルで、彼女が入院中のゴッホの面倒を見たそうです。
この絵の黄色い背景色と夫人の黒い洋服の色のコントラストが、ゴッホのアルルでの深い人間性や孤立を表現しているように感じます。オルセー美術館についてはこちらのブログ「フランスと日本の関わりについて考えてみた!」にも書いています。
ブログの冒頭でアルル出身のファッションデザイナー、クリスチャン・ラクロワについて書きましたが、彼のブランドがフランスのモード界でシャネルやケンゾーのようにメゾンブランドとして確立され、後世に受け継がれて行くことが望まれていますが、今の段階では、その構想も厳しいものがあります。
そんなラクロワは、パリオペラ座バレエのコスチュームをデザインしています。彼の衣装で話題になった演目「La source」は、ストリーやダンサーの踊りより、豪華絢爛のラクロワ衣装に終始うっとりする内容でした。
彼の衣装は、バランシンの振り付けの演目で目にすることが多く、バランシンは、ストリー性より、これぞザ•バレエという感じで観れます。ラクロワらしいスパンコールや刺繍を贅沢に使った衣装にキラキラのライティングと紙吹雪の構成は、これまた、うっとりです。
また、彼のクリエイティビティは、インテリア部門で高い評価を受けています。私も仕事で彼のライセンスラインの壁紙などに関わったことがありますが、彼の内装デザインを好きなファンは結構います。年二回(9月と1月)、フランス・パリので開催されるB to Bのインテリア雑貨の見本市「メゾン&オブジェ」にも出展されています。
1月の「メゾン&オブジェ」と同時期に、パリ市内のフランスのインテリア装飾メーカーのショウルームが立ち並ぶストリートや地区で大々的なイヴェント「パリ デコ」も開催され、デザイン・アートの街として活気づきます。
ラクロワのインテリア商品は、各メーカーのショウルームでバイヤーさんからとても人気があります。
また、彼が内装デザインを手掛けた4っ星ホテル「ホテル・デュ・プチ・ムーラン」がフランスはパリの最新トレンド地区、北マレにあります。
長い歴史を持つ建物の内装が、彼のイメージするドールハウス風デコレーションに仕上がっています。各フロア、各ルームそれぞれモノトーンカラーと彼の故郷の南フランスのアルルの色彩感覚を巧みに組み合わせたエレガントな装飾インテリアデザインです。
これまた、うっとりです。ホント(笑)。こうしたブランドプチホテルもフランスならではですので、是非、一度、宿泊してみてください。
まだまだある!知的好奇心をそそられるアルルの観光スポット
アルルのシテと呼ばれる中心地の旧市街地は思いの外、小さいので歩いても1時間程度でぐるっと回ることが出来ます。ただブラブラ散歩して見るだけでも、感性が刺激されるのがアルルです。
そうしてアルルの小道をワクワク歩いていると、世界遺産の古代ローマ遺跡「円形闘技場」を目にすると思います。ローマやスペインのイメージしかなかった遺跡が視界に飛び込んで来た時は、もう感動ものでしたよ!正直、イタリアに住んでた時代、ローマで初めて見たコロセオに、ちょっとガックリしちゃたんです、私。
好みの問題ですが、古代のただ歴史的な物だけがドーンとあっても、それがいかに素晴らしくてもどうも、街との調和がないと、私の感性に響いてこないのです。モン・サンミッシェルとかも、第一印象は、期待はずれ感いっぱでした(笑)。
闘牛といえば、スペインのイメージなので、フランスで行われていることを知ったときは、もう、ビックリしました。その時すぐに、「あぁ」って、ラクロワのモチーフにリンクしましたね。
現在でも、アルルのこの円形闘技場で闘牛が行われているそうですが、闘牛以外にも、コンサート会場としても利用されています。フランスの闘牛は、同じフランスの南部地方でも、アルルのあるプロヴァンス地方より、スペインのバスク国境に近い地域の方が有名のようです。
確か、闘牛って、動物愛護団体から厳しい廃止運動抗議を受けているので、近い将来、なくなってしまうかもしれません。伝統的な文化でもある闘牛、観客の前で競技中に殺されてしまうのですから、残酷すぎて多分、私は直視出来ないので闘牛観光は、ノン・メルシーです。
また、アルルの円形劇場の近くには、古代劇場や浴場跡の遺跡があります。こちらの遺跡は、円形闘技場より規模は小さいですが、アルルの人気観光名所です。
これらの遺跡から少し離れた場所には、アルルで発見された古代ローマの遺跡を集めたミュージアム「アルル古代博物館」がありますので、そちらを覗いてみれば、きっと、古代ローマにタイムスリップできちゃいそうな感じです。私はまだ、この博物館には、行った事がないので、脳内観光で妄想を楽しみます。
他のフランスの都市同様、アルルも城壁に囲まれていたローマ時代。その城塞の一部が古代劇場の近くに残っています。私のアルルの遺跡巡りプチ観光のお勧めは、迷わず、これで決まり!です。
このローマの城壁を見つけることです。その壁を観ながらから、妄想のワールドに浸るのが楽しいです(笑)過去のブログでフランスの要塞都市カルカソンヌについても書いています。
どうもアルルには、ローマの城塞以外に、中世の時代に作られた城壁も一部残っているようなので、次回アルルを旅したら、絶対に見てみたいですね!
まとめ
アートな好奇心を刺激する南フランスのアルル観光を私なりに選んでみましたが、いかかでしたでしょうか?
さんさんと降り注ぐ太陽と抜けるような青い空の南仏地方ですが、海水浴や日光浴をしたり、ビーチ遊び、マリンスポーツするようなことは、私の観光旅行スタイルではありません。
だから、フランス南部のプロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏で観光するなら、芸術が息づくアルルがマイ ベスト チョイスなのです。
アルルへの行き方で、一番メジャーな方法はパリのリヨン駅からTGV列車を使って、4時間位で到着します。TGVのチケットは、フランス国内、近隣ヨーロッパ国への列車、フライト、バスのチケット予約販売サイト「OMIO」オミオ で日本語で購入できます。旅の交通手段を自由に組み合せることができるOMIO(オミオ)のアプリを入れておくと便利です。
それから、アルルで美術館などの鑑賞のみやインドアな芸術観光だけをすることにしても、日焼け対策を必ずして下さいね。日本の日差しとは、まったく違うので、気をつけないと、ちょっとした油断が後から大変なことになりますから。(涙 )日中は、眩しすぎて目も疲れますので、外歩きは、サングラスで目の保護も忘れないようにしてくださいね。
では、Bon voyage !!