パリに住む日本人の数は、一体、どれくらいなのでしょう? 世界の他の都市に住む日本人の数より多い?少ない?
外務省などの国や都市別の邦人数の統計を見れば、数字を把握できますが、公表年度や調査機関によって、その数やランキングもマチマチです。
この記事では、パリに住む日本人として、在パリ日本人の数や傾向をお話ししたいと思います。
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統計上のパリの日本人の数は?
花の都、パリには、外国人が40万人以上、住んでいると言われています。
その中で、一言で、パリに住む日本人と言っても、3ヶ月以上の長期滞在者なのか、永住権を得た日本人なのかと、その滞在身分によって日本人のトータルな数は変わってきます。
日本人が外国に3ヶ月以上滞在する場合、その国の日本大使館、または総領事館に在留届けを提出することが旅券法第16条により義務付けられています。
これは、国が邦人のフランスでの住所や緊急連絡先などを知っておくために必要な手続きで、フランス国内で転居した場合や、日本に帰国した場合などは、その度に、在留届の住所変更届・帰国・転出の届を出す必要があります。
ただ、外国に住む日本人の中には、届け出をめんどくさがったり、また、帰国した場合などは、うっかり退出届けを出し忘れたりするケースもあり、日本国側も正確な在仏日本人の数の把握が難しいようです。
長期滞在者、永住者を含め、現在の在仏日本人の数は、3万人以上と公表され、その殆ど、半分以上がパリやパリ郊外に集中して住んでいます。
他の国、都市と比べて日本人の数は多いの?
言葉も英語でなくフランス語。美しい街だが、世界一住むのが難しいのがパリ。それでもパリに憧れて、住む日本人は、少なくない。
日本人にとって、敷居も低い英語圏の国、アメリカのロサンゼルス、ニューヨークなどのメジャー都市には、日本人の長期滞在者、永住者がダントツで多い。ヨーロッパでは、邦人在留地として、一番人数が多いのは、やはり大英帝国イギリスの首都ロンドン。
東京の地下鉄もロンドンを真似して作られたし、話す言葉も英語。同じ島国という生活習慣も日本人には、馴染みやすい。そして、歴史的に見ても、世界経済や金融の中心地であるロンドンには、日系企業の数も欧州一、多い。
パリとなると、どんな滞在身分別(永住権所有者を含む)の調査でも、統計ランキングの中では、日本人が多く住む世界の都市の上位10位前後にランクインする。
パリは、英語圏以外の都市に住む日本人の数の多さでは、中国の上海やタイのバンコックに次いで、ベスト3に入る。
日本人にとって、言葉の難しさと住みづらさがあっても、そしてその住む理由は様々でも、パリに住む日本人数は、思いの外、多いと言えますね。
パリに住む日本人の数と特徴
推定15000人以上の在パリ日本人がいるとされていますが、その中で特徴的なのが、身分が3ヶ月以上の長期滞在者のカテゴリーの人が多いということ。このポイントについては、この記事の最後で、詳しく現場レポートを綴っていきたいと思います。
仕事や自分の目的を持ってパリに住む日本人。でも、永住型ではなく、ある期間が終われば、日本への帰国をする人。
永住権取得が難しいという点もあるが、それより、多くの人たちは、永住権を取った邦人でも、フランス、パリを終の住処とは考えていないので、もともと、私たち、日本人には、移民的感覚でパリに移住する気持ちもなければ、一生定住する覚悟も持ち合わせていないもの。
それは、フランス人と結婚した日本人でも同じで、そこまで、自分の将来、このままパリに住み続けるのかなどを真剣に考えている人の数も少なく、こうした多くの日本人は、私からみれば、行き渡りバッタ、刹那的でもある。
今、パリに住んでいる永住組日本人は、私も含めて、常に自分の10年後を考えて生きていくべきだと思う。
パリの日本人駐在員の数の変動
パリに住む期間が数年とはっきりしている日本人の居住者は、日系企業駐在員の方々。在仏駐在員というと優雅な生活のイメージがあるが、最近は、企業の予算問題上、待遇も昔と随分違うし、家族同伴でなく、単身赴任者が増えている。
また、子供の教育のためにも、治安の面でも旦那様一人で在仏赴任生活を送ってもらう家庭も多い。パリでは、日本人駐在員を相手にした不動産やその子供達の教育関連のビジネス業者も、このように日本人駐在員の数が減っているので、苦戦を強いられているのが現実だ。
70年代後半以降、日本経済の成長と共に、日系企業がフランスに進出し、パリに多くの数の駐在ファミリーが住んでいた。
最近、そうした日本の一昔前の状態によく似ているのが、韓国企業で、今まで日本人駐在員家庭が多く住むとされてきたパリの15区、16区は、今、韓国の駐在員の数の方が圧倒的に多く、彼ら向けの食品店やサービス業者も増え、もはや一部は、コリアンタウン化しているほど。
彼ら、パリに住む韓国人駐在員は、日本人と比べて、暮らし方もどこなく大胆で目立つので、実際に住む人数自体が多く見える印象さえある。そして、ますますその数が減るパリに住む日本人駐在員たち。今では、すっかり、影をひそめているようさえ見える。
パリに住む日仏ファミリーの数
日本の駐在員の数のマイナス傾向と反比例して、日本人とフランス人の婚姻やPACS(事実婚法)によって、パリ住む日仏家族の数が急増している。ただ、事実婚の日仏PACSカップルも多く、在仏日本大使館で受理された婚姻数だけでは、ちゃんとしたデーターにはならない。
フランス以外の国で婚姻届けを出した日仏カップルも多いですし、婚姻によって、フランス国籍に変えてしまう人もいる元日本人もいる。
日本人の女性は、フランス人男性にモテる。また、日本人女性も日仏ハーフの子を持つことに憧れる。今回は、こんな単純な理由だけをあげるが、その理由なともかく、その数は、間違いなくアップ中だ。
多くの日本人妻は、結婚後も出産後も日本人国籍を保持し、フランスの10年カード(永住権)を取得する。フランス人の子供を生むことで、こうした滞在資格を取得しやすくなるとも言われているし、結婚し家庭をもち、子供ができるのは、ある意味、普通の過程であるが、この子供達は、22歳まで、両国に正式に届けを出していれば、フランスと日本の二重国籍を持つことになる。
だから、パリに住む日本人の数の実態として、こうした日仏ファミリーのハーフの子供達の数の日本国籍保有者の数も大いに関係しているはずだ。
パリに住む永住型日本人の増加と傾向
子供がいると、子供のお習い事を通じて、日仏カップルの日本人のママ友とのお付き合いも多くなる。同じ日本人ということで仲良くなったりするもの。
そうした息子が小さかった頃の10年前のパリと比べ、今、街中で見かける日仏ファミリーの数は、数倍にも多くなっているような気がする。正確な数では、なんとも言えないが、パリに住んでいて体感する日本人とフランス人のカップル=日本人永住権所得者は、確実に増えている。
フランス人の旦那様を持つ日本人のヤングミセスと日仏ハーフの小さい子供たちの数は、パリに住むに日本人の人口の底上げをしているようだ。
また、フレンチ女性も昔から、フランス人男性より、エキゾッチックで違った魅力を持つ外国人男性が好みだったりする。中でも、マンガやJーPOPなどの影響から、日本人男性が好きな仏女性の数も増加中だ。
今まで、日仏カップルの場合、夫がフランス人、妻が日本人の数が圧倒的に多かったが、近頃は、日本人の夫とフランス人の妻のカップルの数が増えている。
そして、最近は、パートナーのフランス人が望むのか?仕事の理由からか?もしくは、日本人の妻や夫が、そうしたいのか?理由は、千差満別だが、日仏カップルがフランスに住むことをやめて、日本に居住する、引っ越すケースも増えている。子供がいない若い日仏カップルほど、その選択をする数が多いよう。
彼らのような日仏カップルが、そのまま日本に定住してしまうのか?日本に移住した日仏カップルの数もこれから長いスタンスで見てみないと、今の時点で、正確な数を把握するには、まだ、少し早過ぎる。
フランス人と離婚したパリの日本人永住権取得者で、日仏ハーフの子供がいる場合、子供を日本に連れて帰国すること容易ではなく、ほとんど、皆、離婚後もそのままパリに住み続けることになる。
親の都合で、フランスのシステムで教育を受けている子供を、日本に連れて帰り、日本の学校に通わせることは、子供も大きな負担だし、高学年になればなるほど、子供もパリに残ることを望む。
また、フランスは、離婚率が高いせいか、シングルマザーに優しい環境だ。だから、フランス人と離婚する日本人が増えてもフランス人との婚姻でパリに住むことになった日本人の数は、減ることはない。
これからもフランス人と結婚して、パリに住む永住型の日本人の数は、20代〜30代を中心とした若い層を中心に、増えていくであろうし、同時に、日仏カップルの離婚数も増していくことになると思われる。
パリに住む日本人のお一人様の数は多い
パリに住む日本人の特色として、一定期間滞在したら日本に帰国する長期滞在者の数が多いことだ。パリには、ファッションや美術、料理などで世界最先端、流行の発信地としての憧れのイメージを抱く人も多く、そうした仕事の資格や経験を得るために、パリに数年滞在する日本人がいつの時代も一定の数として存在する。
長期滞在者とは、3ヶ月以上の滞在者で、学生ビザを取得し学校に通う者や1年間のワーキングホリデーとしてフランスに住ことを言う。
そうした志を持った長期パリ滞在組の日本人のお一人様の数は、男女の比率も半々。ただ、皆、地域住民と密着する暮らしをするのではなく、自分の目的のための学業や仕事のを中心に生活するので、日本文化、日本人であることを強く主張してパリに住んではいないので、その数と実態はわかりづらい。そうした人達が携わる業種分野や業界に接しないかぎり、そうした彼らと出会うことがないから感知できないのである。
駐在員の現状でも述べたが、最近、このパリに住む外国人で、日本人と同じように滞在期間が数年で短いグループの筆頭に韓国人があげられる。それは、まるで、80年代にパリに来た日本人のお一人様のようだ。
お隣の韓国は、国の政策として、若者が外国で特殊なスキルを学ぶことを推奨している。外国から学んで、それを自国のために生かせ!と言うことなのだそうで、奨学金制度もしっかりしていて、日本以上に、若者が外国に住みやすい。
パリに夢を見るのは日本人だけじゃない。フランスでしか学べない芸術やファッションの学校には、韓国人、中国人(台湾人)が多く在籍し、パリには、それらの国の多くの学生が住んでいる。そしてそんな彼らは日本人より目立つ存在で、その数も年々、確実に増えている。
憧れのパリに日本人が独りで住むということは、現実には、日本より不便な点も多く、フランス生活に大きなギャップを感るもの。パリ症候群という適応障害を発症する例も多く報告されている。
フランス人と恋に落ちて結婚や事実婚をして、パリの日本人永住組になるなら話は別だが、パリで夢を叶えるパリマジックなどは存在しないので、長くパリに独りで住み続けることはオススメしない。それほど、パリという街は、お一人様には住みにくい街なのです。
まとめ
パリを訪れると外国人観光客の多さ以上に、パリに住む外国人をたくさん見かけることになります。また、日本人から見て、肌や髪の色が白人系であってもルーツがフランス人という人の数は、意外に少ない。ほんの一握りです。
個人主義の発達したフランス。パリは、住みにくいが、外国人にも寛容なので、どんな日本人の立場でも受け入れてくれます。
私たち日本人は、いい意味で主張することが苦手です。だから、パリに住む私たち日本人は、立場や身分が違っても、その数が多くても少なくても、フランス人が大切にする生活を脅かしたり、道徳を守らないということはしません。
昨今のフランスの外国人問題、移民問題もパリに住む日本人は、対象外。本当のところは、フランス人から、日本人ならもっとパリに来てもいい!住んでほしいとまで思われるほどなのです。
これからも日仏カップルの増加によって、日仏ハーフの子供達、また、日本人の永住組の2世、3世も増え、パリに住む日本人は数は減少することはないでしょう。
その数をはっきりとデータとして、把握することは、パリに住む日本人の生活状況が複雑なので、難しいですが、現地にいると、ジャンル別にパリに住む日本人の数の推移を肌で感じ取ることができ、面白い発見があります。
そんな私もパリに住む日本人の一人として、届け出を提出しています。息子くんも。永住組だけど、あと何年、パリに住むかわからない。息子くんも、もう少ししたら、日本かフランスのどちらかの国籍を選ばなければならない。
これからも、ある一定の層のパリに魅了される日本人がいる限り、パリに住む日本人の数は世界の日本人が多く住む都市のランク付けの上位の常連さん、ベストテンに入り続けるでしょうね。