日本のテレビでは、海外の現地取材による番組が多く放送されていますね。
パリは、EUの最大都市で、政治、経済、歴史や文化は世界的に注目度も高く、常に日本のテレビ番組でも取り上げられています。
今回は、そうしたパリに関わる日本のテレビ番組制作に、必要不可欠な現地パリのテレビコーディネーターについて綴っていきたいと思います。
Contents
パリと日本のテレビ番組の関係
日本のテレビは、フランスのテレビと比べると、チャンネルも番組も多く、情報量がとても多い。キー局のニュースや報道番組も、ワイドショーも多い。
フランスのテレビが日本のように(一部の民放局を除く)朝から1日中、ずうっと、同じ内容のワイドショーを放送しているわけでもない。
昔も今も日本人の西洋への憧れ、パリへの関心度の高さは、それは、まるでコンプレックスとも思える程。そのような勝手なフランスへの一方通行なイメージを持つ日本人は、テレビのブラウン菅を通して、頻繁に、フランスやパリに関するニュース、トピックスの映像を目にすれば、そのままパリのイメージを連想し、想像を膨らませていくもの。
それだけ、日本には、パリのことをピックアップしたテレビ番組は多い。おしゃれ関係のファッション番組ならパリコレ取材は必須アイテム。
他のファッション都市もあるけど、パリコレだけで、番組がいくつでも制作できるほど、この手のパリ=おしゃれ的なテレビ番組は多い。
日本のグルメ系、食べ歩き番組なども、パリのスイーツや美味しいお店、フレンチレストランなどのフランス美食系モノも多い。
パリの現地取材による日本のテレビ番組は、この他にも、ニュースもあれば、現地のフランス人の素人さんよる企画モノ番組など、報道ジャーナリズムから紀行、バラエティーものまで多種多様です。
フランスは、テレビ番組として、取り上げられることのできる題材の宝庫で、日本にいると、無意識であっても、テレビ番組を通して、パリの情報が浴びるように流れているものです。
時として、その日本人の情報キャッチの速さは、パリ在住の私たち日本人より早く、日本の方から、「パリって、今、こうなの?」「パリって、今〇〇がブームなんでしょ?」「フランス人て〇〇らしいね??」などと、日本から逆輸入のように聞かされるこのようなパリ情報も多かったりするもので、これには、完全に日本のテレビ番組の影響です。
それだけ、日本のテレビで流される「パリ」情報が多いということなのですが、現地にいると、正直、時々、そのギャップを大きく感じることがあるのです。
数年前にパリで発生した同時多発テロ事件。たくさんの日本のテレビ番組で報道され、パリの至る所でテロが起きている=パリは怖い=行くところでない&住むところでないという先入観が植え付けられ、テロ後のパリの日本人観光客著しく減少しました。今まだ、パリを訪れる日本人観光客の数は、テロ以前の数に戻っていません。
パリだけでなく、世界中、絶対安全な場所などありません。もちろんテロに巻き込まれたくないですが、テロ以外にも緊迫した世界情勢、自然災害もあるわけで、フランス人からみれば、いつどこで大地震が起こるかわからない日本も、とっても怖い国なのだそうです。
日本の方々は、そうした日本で暮らしているので、フランス人の恐怖感はわからないのと同じことだと思います。(テロと自然災害は、本質的には、全く異なる理由で起こっていますが)
フランスは、今だ、アナログ世界で、情報収集の仕方も個々それぞれ違います。テレビをONにすると、何度目かわからないほど再放送されている日本の昼ドラのような番組がオンエアされていたり、年末などのゴールデンタイムに、平気で去年の歌番組などを再放送していたりするのです。
CMだって、一部のブランド化粧品や香水以外は、クオリティーが低い、ただ画面に宣伝したい商品がバーンと映し出されるような単純なものだったりと。日本のCMと比べものにならないレベル。
だから、日本は、テレビ離れとか底視聴率と言われても、やっぱり、テレビによる影響は大きい。日本人のテレビとの付き合い方にも問題があるのだと思いますが、、、。
パリでテレビコーディネーターがやること
パリの撮影コーディネーターとテレビ番組のコーディネーターの仕事の内容は、ほとんど同じで、まず、日本サイドの企画側からの依頼によって仕事がスタートします。
ロケハンなども必要だったり、撮影に入る前の下準備に、リサーチも含まれます。パリ市内の撮影なら撮影許可を申請したり、スタジオから現地カメラマン、ヘアメイク、モデルなどの手配。取材などの場合は、出演交渉、当日撮影現場では、常に帯同し、通訳から、撮影期間中のお金の管理まで行います。
テレビ番組企画依頼主側のスケジュール内で、撮影、収録が撮りきれるように、すべてをコーディネート、スケジュールを組み、また現場でも、撮影がスムーズに進行するように、フランスと日本の間に入って、調節役のコーディネーターとしての任務を果たします。
ロケコーディネーターとして、撮影に関する現地パリでのすべての手配や段取りを組むことは、もちろんで、これがテレビ番組の場合、取材などの要素が多い企画番組も多く、それに事件性の高い報道などの現地レポートなども含まれることになります。
パリ撮影コーディネーターに関しては、こちらの過去のブログをご覧下さい。
テレビドラマでもパリが舞台となるシーンも多く登場しますが、その様なロケのコーディネーションの仕事内容は、映画の撮影もCMムービーもそう変わりがありません。
ドラマなどの撮影以外のテレビ番組のパリ現地収録は、大人数のクルーではなく、日本からは、ディレクター1人だけ現地に入り、ディレクター自身が撮影もできるという小規模なモノが多いのが最近の特徴です。
カメラマンや音響は、現地パリ手配となるケースもありますが、日本からのディレクターがそうした全ての撮影業務をこなす。番組によっては、現地パリのコーディネーターすらも必要ないということもあります。
日本のテレビ取材も簡単ではない
日本のテレビ番組企画サイドから依頼のパリ現地のテレビ取材もすべてが可能なわけではありません。パリで普段は見ることもできない場所などに、特別に撮影を許可が下りて、収録した映像を流す日本のテレビ番組。
こうした企画に沿ったパリの取材には、当然、パリのコーディネーターのコネ、人脈、交渉力がモ物を言います。
日本のテレビ番組企画サイドが、日本的な考えで、意図も容易く、この辺りを考えている場合もあるので、現地パリは、相手は、フランスなので、スムーズに行く方が稀ですが。
あの手この手を尽くしてなんとか許可にたどり着く場合と、どんなコネやツテを使ったところでも絶対に無理な場合もあるわけです。
そういう日本の企画サイドの描く番組で取り上げる内容のイメージと現地の不可能という溝をどのように、臨機応変に対応できるかで、依頼主側の意図をくみ取りながら、現地パリから的確な提案ができるかどうかも大事です。
International Presse Card(プレス パス)を取得している多くの日本人フリージャーナリストも、パリでロケーションコーディネーターの仕事をしています。
各イヴェントそれぞれの取材にもプレスパス(取材許可書)申請は必要ですから、ジャーナリズムの分野でもインターナショナルプレスパスが取得できる程度の実績と経験があれば、取得申請の提出書類を揃えるのは、面倒ですが、取得しておいた方がいいと思います。テレビ取材のコーディネーターとしての活躍の場が広がります。
また、パリを拠点にして、ヨーロッパ全土、また、日本からは遠いアフリカ大陸全域で、テレビ取材、リサーチ、ロケーション撮影を行うコーディネーターもいます。
パリについてのテレビ番組の真実
パリについてのテレビ番組。まずは、日本の制作側からの依頼で、現地のパリのコーディネーターが、テレビの現地取材や撮影などの段取りをコーディネーションする。
基本的に、現地を知り尽くしたプロのコーディネーターの存在が必要不可欠です。
今回、焦点にあげるのは、テレビのバラエティーやワイドショー、報道現地パリレポートなどのテレビ番組のコーディネーションだ。
いずれにせよ、日本のテレビ局、制作会社などの企画ありき。その企画のイメージ通りに現地で収録できるようにすることが、この様なテレビ番組のコーディネーターとして、一番大事なことなのは言うまでもないのだが。
日本サイドで考えてくるパリのイメージ。こういう収録、この様に撮りたいが、あまりにもパリの現実と違うということも多々あるので、そこをうまく現地パリで調節することができるかもポイント。
行き過ぎると、やらせになってしまうが、それでは、やはり視聴者にわかってしまうものだろうし、何事もウソはいけない。だから、この企画、日本サイドが求めるパリにできるだけ寄り添うような収録や撮影ができることに徹すること。
最終的には、撮影&収録したものは、日本の制作側で、編集されるので、撮ったものが、ほとんどが使用されていないこともあったりするが、限られたパリの撮影日数で、日本にできるだけ多くの使えそうなパリイメージを収めてもらえれば何より。
やらせでないのに、時々、なぜか、テレビ番組の現地リポートと現地パリの状況が、かけ離れてしまうことが起きる(例えば、同時多発テロ報道など)。
個人的意見だが、日本のは、ワイドショーテレビ番組が多い。事件などがあれば、四六時中、同じ話題を報道している。そして、編集の仕方が上手でインパクトがあること。
これだけ、目に焼きつくほど、同じ映像を目にすれば、素直な日本人視聴者のは、すぐ信じてしまうからであると思う。また、その反面、忘れやすいのも日本人の特徴とも言えますが。
テレビ関係のコーディネーターで困ること
ぞれは、ズバリ、企画にあった素人さん(フランス人、在仏日本人)などに出演してもらうテレビ番組のコーディネーション。
本音を言えば、企画自体に無理があることも多々あるけど、自分が企画制作側や見る側なら、そういう面白みのある番組だったり、かなり突っ込んだ内容、核心に触れるような内容を作りたい、見たいと思うもの。
日本では、空港で来日する外国人に声をかけるテレビ番組がヒットしたおかげで、そのような素人さん登場の番組が本当に増えた。パリでテレビのコーディネーターをしていると、そうした番組制作側から「〇〇のような人」例えば、一つの例として、「世界のお父さん=日本に家族をおいて、単身赴任で、一人、パリで日本料理の板前さんをしている人。渡仏以来日本の家族と会っていない等」などの出演依頼が来る。
このように番組の企画テーマに沿った、明確なイメージの人物を求められることが多くなってきた。
コーディネーターとして、現地のコネや知り合いは、本当に大事なのだが、自分の仕事(コーディネーターとして)のために、自分の一方的な要求ばかりで、今までの自分が築き上げてきたパリでの人脈などを使うことに、いつも、僅かなためらいがある。
コーディネーターしていると、「友達なくす!」みたいな事をいう人すらいる。自分の性格や人柄は自分でわかっているようでわかっていないことも多いので、自分が、いい人とか思っていない。
むしろ逆。それでも、このような私のケース、テレビ番組の出演者の人探しは、(すでにターゲットがある場合を含み)、友人をはじめとするパリの自分の回りの人たちに助けてもらって、今まで、なんとか乗り切ってきた感がある。
日本のテレビ番組の制作側もこのような出演者に対してのギャラ予算が厳しい場合も多く、本当に、コーディネーター(調整役)として、苦しい立場に追い込まれる時もある。
今では、SNSを利用して人を募集したりすることも容易になった。それでも、こちら側の求めるイメージの人を決められた撮影日程で出演許可がもらえるかなどの問題があり、そうそう簡単ではない。
結局のところ、このような人探しも、興味を持って楽しくできる素質を持ち合わせているのもコーディネーターだと思うので、仕事自体を楽しめる=好きを仕事にしている人がほとんど。
それと、なかなか、イメージ似合う人が見つからなくても、いい加減な言い方かもしれないが、私、経験上は、最後は、なんとかなるものだと思っている節もある。
一度、イタリアで某テレビ局のファッション番組のミラノコレクションのコーディネーターをしていた時、番組の企画で、ミラノのメンズコレクションに絡んで、イタリアの有名高級車の工場やデザイン企画などを取材することになった。
随分、昔だったから、SNSもネットもなく、企画側として、そうした工場のある小さいイタリアの田舎街の美しいイタリア女性の出演だった。プロのモデルでなく、そうした彼女たちの肩書きもイメージされていた。
そうした出演者も目星がつき、取材対象のアポなど段取りはすべて整って撮影に入ったのだが、当日、アポを入れていた女性が一人ドタキャン、また、実際に会った際、写真などのイメージとかけ離れていた。
車&美しいイタリア女性の構図が崩れ落ち、正直焦りまくった記憶が。日本サイドからも凍りつく視線を感じて、どうしよう??だった。その田舎町に知り合いなんて誰もいない。今日中、できれば、今、そのカットを撮りたいし、明日は、移動だ。
あとは、もう、持てるだけの知識で、その田舎街は、有名な故イタリア人オペラ歌手の出身地で、当時、愛娘がその街でセレクトショップを経営しているという事を知っていた、急遽、突撃ではないが、直談判、交渉した。本人が快く承諾してくれ、事なきを得た。
それで、ほっとはしたのだが、もう一人必要だった、またイメージとしてもう一歩、イタリア女性らしいセクシーな女性の撮影。ランチで訪れたピザ屋さんのオーナーの奥様が、思い描いていたイメージの女性にぴったりだった。
それで、イタリア語で、(日本からとイギリスからのクルーで、イタリア語は話せるのは、当然、私だけだったし)、その場で、口説き落とし?撮影となった。
こんなハプニングやアクシデントは、現地ではよく起こることで、ただ、具体的な一例として、今回、記事に書かせてもらったわけですが、現状を知っているコーディネーターの方からは、取るに取らないこんな事を語ることもないと怒られそうだが、、、。
まとめ
今回は、パリのテレビのコーディネーターについてフォーカスして、撮影コーディネーターやロケコーディネーターとの異なる点を、書いてみました。
私たちが、普段、何気なく見ている日本のテレビで、パリに関するニュースや特集番組が多く放送されています。それだけ、フランスには、テレビ番組企画となる題材も豊富です。
そんなパリについてのテレビ番組の制作には、必ず現地の優秀なコーディネーターの存在があるのです。
収録後、編集され、オンエアされる部分は、少なくても、一つの番組を作る過程の中で、多くの作業があるのです。コーディネーターとして、ココだけやれればいいというような割り切りすぎる考えでは、コーディネーターとしての仕事は務まらないと思います。
テレビ番組の制作側と一緒に、良いものを作り上げる組織の中の一員として、押し付けがましくもなく、縁の下の力持ち的存在、裏方がテレビや撮影のコーディネーターなんですね。
パリでコーディネーターをお探しの方は、こちらのブログのお問い合わせページからご連絡いただければ幸いです。
また、こちらのホームページを参考にしてくだい。