パリは、街全体が撮影スポットです。たくさんの映画、ドラマやコマーシャルにパリのエッフェル塔やセーヌ川に架かる橋などのシーンが映し出されていますね。
そうしたパリの収録や撮影に、コーディネーターは、なくてはならない存在です。
では、実際にパリの撮影コーディネーターとは、どんな仕事をするのかを説明していきたいと思います。
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パリでの撮影の種類もさまざま
パリは、世界トップクラスのフォトジェニックな都市です。市街地や住宅街は、歴史建造物が立ち並び、そこを行き交うパリの人たちの風景は、どこもまるで絵画を見ているように美しいのです。
普段、普通に何気なく市内を歩いているだけで、よく、世界各国の撮影クルーの撮影現場に出くわします。
ハリウッド映画でもパリを舞台にしたものも多いですから、それだけパリにはストーリー性とグッドロケーションが揃っているわけです。街中には、映画やコマーシャルに使われたカフェやレストランなどのロケ地もたくさんあります。
パリで撮影といっても、ムービー系の映画やドラマ、コマーシャルの撮影、ドキュメンタリーやバラエティーなどの情報テレビ番組の収録、ミュージシャンやブランドのプロモーションビデオから、雑誌や新聞、広告など取材も含まれるスチール系、または、もっとプライベートな写真撮影、例えば、プロのカメラマンによるパリでのウェディング記念写真などがあります。
こうしたパリの撮影には、ロケーションに伴う準備、手配、調整などすべての段取りを行う、現地のプロの撮影コーディネーターが必要になってくるのです。
市の財政には、パリの撮影は重要
パリの街には、撮影や取材したくなる題材がいっぱいあります。観光大都市ですから、1年中、世界各国のツーリストが訪れ、観光スポットは、もちろん、街の至る所で、皆、パリ旅行の思い出スナップ写真を撮っています。
パリは、インスタジェニックな風景もたくさんですから、皆、街中でスマホやカメラでパッシャパッシャ撮っては、SNSにアップしています。
個人情報の問題しかり、また、パリの地下鉄(メトロ)構内は撮影禁止などの規制があるにもかかわらず、パリジャンもパリジェンヌもさほど神経質に気にしていないように思います。
インスタくらいなら、通行人などの人の顔が写り込まないのだから、大丈夫でしょう、、と言ったところでしょうか。
もちろん、本格的なCMやムービーなどをパリで撮影する場合は、必ず、パリ警視庁とパリ市に届けを出して許可を取らないといけません。
路上は、パリ警視庁に、美術館、博物館、公園、公共機関などは、パリ市の撮影課(パリフィルム課)に撮影許可を申請します。それぞれ管轄が違います。
歴史的建造物などがバックの背景にない路上であれば、パリ警視庁で撮影許可を取得すればいいのですが、パリの市内は、どこも公共施設、大建造物だらけです。
そうしたロケには、パリ市に撮影許可申請すると同時に、使用料金を支払わなければなりません。
パリは、こうした撮影許可による収入が、市の財政収入源として重要なウエイトを占めています。
撮影における道路使用許可や文化財使用許可の料金は、クルーの人数や日数、時間、車のレンタルなどによって異なってきます。
パリロケの撮影場所使用料金は、その場所の価値の高さを考えれば、高額なことは、言うまでもありません。
こうしたすべての細かい各種撮影許可申請を、現地パリの撮影コーディネーターが行います。
他に撮影のためにコーディネーターが手配することは?
ローケーションの場所
パリでの撮影申請の許可の手続きの前に、まず、撮影の場所を決めなければなりませんね。最初に、日本のテレビ局や制作会社(クライアント)から、ロケのプロジェクトの企画の依頼がきます。
依頼主側の意向をくみ取り、現地の撮影コーディネーターとして、リサーチやロケハンが必要になることが多いです。
外撮影に大きく影響する日照時間や撮影対象物に対しての、光の加減などのカメラワークもよくわかっていることが大事です。優秀なパリのロケコーディネーターは、そうした知識も豊富です。
パリ市内のそうした様々な場所で撮影ロケーションに使えそうなところをたくさん自分の引き出しに持っていることも大切です。
ロケ候補地がお店やレストランなどのケースも多く、そうした場所で、イメージに合った出演者や取材対象者にコンタクト及び撮影協力のお願いなどもコーディネーターが行います。
スタッフの手配
最近の日本からの撮影クルーは、予算がある大規模なプロジェクトでない限り、日本サイドからパリに来るのは、ディレクター1人だけやカメラマンだけという小規模な人数が一般的になりつつあります。
カメラマン、モデル、ヘアーメイク、音響、照明、翻訳者、エキストラなどのは、パリの現地でコーディネーターが手配します。
日本のバラエティーや情報番組の企画サイドから、フランス人の素人さんで、こんな感じの人とか、在仏日本人でこんなような人というような番組のテーマに合った出演者を収録したいという要望が結構来ますので、イメージに会う人を探し出して、出演の許可を取ったりします。
こうした番組企画サイドの希望するイメージに合った出演可能な現地の人を、見つけるのは、そう簡単ではありませんので、こうしたところにも、どれだけ地元の人脈やツテがあるかも大きく影響してきます。
ですから、パリのあらゆる場面で顔が効く、ネットワークがあることもとても重要ですから、普段から、人との付き合いを大事にしていなくてはいけません。
パリの警察や国の役人レベル、空港関係者などにも顔見知りになって、コネを持っていた方がいいです。
日本から来る撮影クルーの滞在先ホテル、空港送迎の手配などもコーディネーターがすることがあります。
撮影中の食事の手配もロケコーディネーターの仕事です。現場では、時間通りに進まないことも多く、どうしても収録は長丁場になりますから、その中での唯一の楽しみ、腹が空いては戦はできぬなので、ロケ弁手配は重要なポイントなります。
撮影現場には、常に飲み物や軽食やスナック菓子をセッティング(ケータリングに頼んだりする)しておくのも現場コーディネーターの担当です。
こうしたことには費用がかかりますから、日本のクライアントさんからの仮払金を預かって、ロケ中のお金の管理も撮影コーディネーターがします。
撮影スケジュール組み立て提案
企画側からの決められたパリでの撮影日数内で、番組や映画の収録ロケを滞りなく終わらせなければならないので、上記で説明した様々な手配、また、日程とアポと地理条件を考慮して、上手に組み立て、撮影の行動移動スケジュールを作成します。
現地の立地をよく把握している現地のコーディネーターは、どれだけ、綿密に効率よく撮影を進めることできるかを頭の中で、即座にいく通りものシュミレーションがきできるくらいです。
撮影に入る前の段取り、事前の行動予定プランニングの出来次第でスムーズに撮影が進むか違ってきますので。
撮影コーディネーターは、撮影のロケーション現場に必ず立ち会います。撮影には、ハプニングがつきものです。パリの街中では、そうした何らかの問題、例えば、予期せぬ突然のストやデモによる交通規制などが発生することがよくあります。
また、パリ警視庁からの撮影の許可が下りていても、近隣からの苦情も出たりしますので、そうしたことへの対応や通行人にも声をかけて協力を得なくてはなりません。
スケジュール通りに進まない、イメージしていたカットが収録できないことも、頻繁に起こります。限られた撮影日数で動いていますから、状況によって的確な判断ができ、どれだけ機転が効いて動けるか、それらの問題をクリアできる現場対応能力を持ち合わせていることがパリの撮影コーディネーターとして仕事をするための重要な要素となります。
撮影クルーは、カメラマンをはじめとする、それぞれ専門技術職の職人さんたちの集まりです。彼らが自分の仕事に専念できるよう、現場の回りを整えてあげる気配りを常に持って、企画側チームの良い作品を作りたいという気持ちをシェアして、一つのものを集団で作り上げていく中のスタッフの一人として自分自身も楽しみながら、スケジュールの段取りから掛りかかています。
エッフェルタワーの撮影には注意を!
パリ市内の路上撮影の場合、軽装備で人数も10人以下で22時までならパリ警視庁においての撮影申請は不要です。
肩に乗せた動画撮影機材を持ったカメラマンとコーディネーターひとり位の小規模な撮影や三脚などを使って歴史建造物の前での記念撮影、ファッションスチール撮影などは、このように規制が緩やかですから、許可を取らずに撮影してしまうこともあります。
ただ、気をつけないといけないのが、パリのシンボル的存在のエッフェルタワーのシューティングです。エッフェルタワーの外観のワンカットだけでも、パリの情景が思い浮かぶ、パリでななければ撮れないワンシーンですね。
パリは、アマチュアでも、写力の湧く、どこでも絵になりようなカットが撮影できる街ですが、エッフェルタワーだけは、特別で、早朝から夜のライティングまで、観光客をはじめとした訪れる人を魅了し、写真が撮り続けられています。
日本でもエッフェルタワーを背景に入れた車のコマーシャルや、スチル写真、プロモーションビデオなどをメディアで見ない日はないほどです。
これだけ、撮影されるエッフェルタワーなのですが、常に、エッフェルタワー前のトロカデロ広場公園を警備パトロールしている人たちがいます。
彼らは、撮影に関してもチェックしていますから、このエッフェルタワー直近の公園で、肩載せ型カメラを持ち込んでいるだけでも注意を受けます。エッフェルタワーから離れないでいると、撮影していなくても、疑われ、罰金などの対象になります。
被写体として、フォトジェニックなエッフェル塔ですが、撮影目的は、個人使用、記念写真用、セルフィーに限ります。メディアなどにエッフェル塔をバック背景にしたスチル写真などが露出してしまうと、著作権問題に引っかかってしまうので、注意することも大事です。エッフェル塔のロケは、撮影許可申請をした方がいいです。
パリ市による歴史的建造物のエッフェルタワーの財産収入の管理、取り締まりは厳しいものがあります。
パリで撮影コーディネーターになりたい
まず、語学は、フランス語が不自由なく使えること。英語もできた方がいい。逆に、語学が堪能であれば、資格や試験なども不要なのが撮影コーディネーターの仕事です。
でも、なりたいと思うのと、できる&向いているは、違うので、誰でも、フランス語さえできれば、パリで撮影コーディネーターとして仕事ができるわけではありません。
以前は、パリにもたくさん日系ロケコーディネーション会社が存在していましたが、日本の景気衰退、テロ問題で、日本のメディア業界の海外ロケも激減してしまい、パリの多くの日系現地ロケーション会社が倒産しています。
会社が存続していても、コーディネーターを正規で社員として雇っているところは、極めて少ないので、パリで撮影コーディネーターの仕事をしている人のほとんどは、個人事業形態のフリーランスになります。
フランス人でも撮影や映像に関わる専門職の人は、コーディネーターを含めて、ほとんどの人が、こうしたフリーランス形態で仕事しています。
そうなると、会社に入って、コーディネーターの仕事を学んだりするチャンスは少ないので、フリーランスで撮影コーディネーターをしている人のアシスタントなどをして自分に適応要素があるかないかを見極めたり、また、仕事の内容を習得していく方法があるかと思います。
今まで上記で書いてきた撮影コーディネーターとしての適性や向き不向きは、どれだけ現場での経験を積んでいるかと、あとは素質の問題です。
仕事ですから、お金をもらって学ばさせてもらうとなるとプロとしてどうなのか?という点もありますが、コーディネーターとして独り立ちしている人は、皆、まずは、特別な見習い経験もないまま、現場で叩き上げられてきたようなタイプ人が多いです。
また、渡仏前、日本で既に、メディア業界で仕事をしていた経験がある、また、元カメラマンだったというような方もいます。そうした人たちは、企画製作側の意図の読み取りも早く現場の感覚も慣れていますからロケコーディネーターとしても力を発揮しています。
有名人や芸能人に会える、給料が良さそう、刺激的な仕事、素敵な場所に行けるなど、コーディネーターという仕事のプラス面、良いことがクローズアップされやすいですが、影の力持ち、完全に裏方の仕事です。また、体育会系の体力に自信があることも大事です。仕事は、肉体労働です。
男性に向いている仕事とも言えるのですが、きめ細かいオーガナイズセンスも求められる仕事ですから、パリでは、女性のコーディネーターがたくさん活躍しています。
ロケハンするのにも、コーディネーター自ら、日本からの撮影関係者の空港送迎するにも、運転免許と車を所有していると、トータルなコーディネーターとしての仕事の幅が広がります。
まとめ
多くの映画や日本のテレビ番組で見るパリのシーンは、現地の撮影コーディネーターが、情報提供、リサーチ、準備や手配を行い撮影の段取りをコーディネートしているわけです。
撮影コーディネーターの仕事は、能力や適性、体力も大事な要素ですが、まずは、何よりも、その仕事が好きでないと、務まらないものです。
現場では、時間の拘束も長く、天候にも関係なく、収録が続けられますので、そんなことは、全く苦にならないで、いいモノ、いい作品、いい撮影がしたいという気持ちがあって、そうした気持ちをクルーの人たちとシェアすることに喜びと楽しさが感じらること。心底から「好き」だからできる仕事が撮影コーディネーターではないでしょうか。
実際に、パリの撮影コーディネーターとして、自分が関った映像や画像が編集されて放映されたり、作品になったりすることが、(編集でカットされていたとしても)何より嬉しいものです。
こうしたパリでの撮影コーディネーターの仕事は、独りでできる仕事ではありませんね。日本サイドと現地の人との文化の違いなどを理解して、現場での両者の間を雰囲気が明るく楽しくなるようにと、自然と主体姓を持って仕事をしています。
いつでも、撮影ロケーションとなるとワクワクするものです。そして、クライアントさんをはじめ、多くの人の協力によってできる仕事でもあるので、いつも自分の回りの人やモノに感謝の気持ちを持って接したいと思っています。
パリで撮影コーディネーターをお探しの方は、こちらのブログのお問い合わせのページからご連絡いただければ幸いです。
また、こちらのホームページを参考にしてくだい。 ↓