フランス・パリの古着屋に行ってみたい人へ

フランスのパリは、世界のファッションをリードする街として知られています。フランス発祥の高級ブランドの本店や、流行のストリートカジュアルファッションブランドストア、最先端のセレクトショップがひしめいています。

今回のブログでは、そんなファッション都市パリにある様々なジャンルの古着やヴィンテージのお店を紹介していきたいと思います。

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フランスの古着屋さんとヴィンテージショップの違いは?

サトミーナ
こんにちは!パリのコーディネーター・サトミーナです。(@SatominaS)

フランスのパリには、古着屋さんからヴィンテージショップ、中古リサイクルショップ、アンティークショップ、古着委託販売のデポ-ヴァント=Dépôt-Venteなどのお店がたくさんあります。

そしてどうも、ハッキリしないのが、フランスの古着屋さんとヴィンテージショップの違いです。店のウインドーには、ヴィンテージショップと書かれているのに、中に入って見ると、「うーん、これって、ヴィンテージなの?古着でしょ。」って思うことがよくあります。

パリのおススメ古着屋さんをピックアップして紹介する前に、この辺りの違いや定義を簡単に見てみたいと思います。

古着とは、「USED=ユーズド」と呼ばれてることからも分かる通り、一度着用したした中古服全般のことです。こうした古着を扱うのが古着屋さん、リサイクルショップ、フリマ、買い取りや委託販売店です。

ヴィンテージは、同じ使用したことがある衣類やバックでも、近年発売されたアイテムではない事を意味します。

ヴィンテージという言葉は、フランス語のワイン用ぶどうの収穫という単語「vendage=ヴァンダージュ」から来ています。ワインは、ブドウの収穫の年によって、当たり年もあれば、はずれ年もあり、価値のある極上のモノを「何年もの」と紹介したり、ヴィンテージの認定のラベルが貼られたヴィンテージワインもあります。

こうした意味合いをもつ「vintage=ヴィンテージ」とは、一定の古さがあって、質も価値も高いファッションアイテムのことなります。ジーンズやデザイナーズブランドがヴィンテージのイメージですが、必ずしもブランドでなければヴィンテージではないということはありません。ただし、コンディションの良い状態のものでないとダメです。

ヴィンテージの古着を語る上で、古着全般と大きく異なるポイントが、どれくらい前のものかという点です。30年以上の歳月が経っているのが一般的なヴィンテージのイメージですが、大変希少価値のあるものですから、いくら服飾の文化と歴史があるフランスでもそこまで厳密なヴィンテージ商品を揃えるのは難しいので、最近は、80年代以降のものでも、ヴィンテージ扱いされています。

パリのお店の方も、古着屋さんと呼ばれるのは、格好が悪くて好きではありません。品揃えがユーズドだけであっても、ヴィンテージショップの看板を出しているので、正直、実際に、店内に入ってアイテムをチェックしてみないと、ただの古着なのか、お宝ヴィンテージがありそうなのかはわからないです。

また、「アンティーク= Antique」もフランスの言葉で古代美術品を意味しますが、正確には、製造されてから100年以上経っている美術骨董品や家具などの事を言い、洋服にはあまり使いません。100年以上前の宝飾品は、アンティークジェリーとも呼ばれています。

パリで本格的なヴィンテージ古着屋さんは、やっぱりココ!

パリのルーブル美術館に近い、パレロワイヤル公園のアーケード街にある「Diidier Ludot=ディディエ ルド」は、1975年創業の老舗高級ブランドの古着屋さんです。

プレタポルテとオートクチュールの2つの古着屋が同じギャラリー モンンポンシエール通り(Galerie de Montpensier) に店を構えています。取り扱いブランドはもちろん、王道のパリコレブランド、シャネル、サンローラン、エルメス、クリスチャンディオールなどです。

20番地にあるオートクチュールのショップに行く場合は、事前に電話でアポが必要で、かなり敷居が高いです。ウインドーには、ボディに着せられたオートクチュールのヴィンテージ服が、製作年度が書かれたプレートと一緒にディスプレイされています。

50年代、60年代、70年代のシャネルやディオールなどのオートクチュールが展示された、そこは、まるで、パリのモード歴史博物館のようです。

24番地にあるプレタの方の店内には、オープンから変らない商品陳列で、高級ブランドのヴィンテージが所狭しとラックに掛けられているだけで、すっきり感がないのが少し残念です。

そんなショップに、激レアなフランスの年代物ヴィンテージを求めて、フランス国内外のファッション関係者や、モード学生、セレブたちが集まります。

また、「Didier Ludot=ディディエ ルド」と同じギャラリー モンンポンシエール通りには、私がイチオシする古着屋さんのマダム・ガブリエルのブティック「Gabrielle Geppert=ガブリエル ジェペール」があります。

彼女は、ヴィンテージ系の古着屋さんと自分のオリジナルブランドのショップを隣同士で2店舗経営しています。

古着やヴィンテージショップのオーナーのほとんどが、自分自身がコレクターだったりと、かなりファッションに思い入れがある人たちです。ジーンズの古着コレクターなどが典型的な例ですね。

ただ、最近は、本当にモードが好きな人が日本でもフランスでも少なくなってしまいました。手軽なプライスでおしゃれが出来るファーストファッションの繁栄で、本物のファッションの良さに触れて、憧れを抱く事もなくなってしまいました。

そんな中でも、モードに対してパッションを持ち続けているのが、マダム、ガブリエルです。80年代、90年代とパリのモード界で働いた彼女が、自分が好きなハイブランドの古着を集めたのが「Gabrielle Geppert =ガブリエル ジェペール」です。

彼女のセンスで選び抜かれたシャネル、イヴサンローラン、ティエリーミュグレー、バレンシガのブランドの服やアクセサリーのヴィンテージ、最近のコレクションのユーズドや未使用のままの物までが揃っています。どの商品も手入れが行き届いた良い状態でキレイに展示されています。

こだわりの強い彼女が特に好きなブランドは、サンローランとティエリーミューグレーだそうで、また、彼女はサングラスフェチでもあるので、ビックリする程の数のブランドもののユーズドサングラスがあります。シャネルのアクセサリーもすごい数ですよ。

そんな彼女が古着屋の隣りに、自分のブランド商品を取り扱うブティックを出しています。場所柄、フランス国内外からの観光客が多く行き交う場所なので、Tシャツ、トレーナー、エコバックなどのパリのお土産としても重宝するプチコレクションの展開になっています。

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リーマンショック後、古着屋の経営危機に直面し、こうしたプチビジネスを始めたそうですが、彼女のショップのユースドの古着やヴィンテージは、全部買い取っているそうなので、それはそれで、資金繰りが大変だっただろうと思います。

今では、ファッショニスタの彼女自身、楽しみながら、好きなサングラスやバック、お財布などのアイテムに加え、1点もののサンローランを彷彿させるジャケットなど楽しみながら少しずつ製作しています。

小さいブティックで、自分のブランドの商品をストックができないから、プチコレクションがいいらしいです。(笑)

下町情緒たっぷりな地区にあるパリの古着屋さん

パリの街の古着屋さんの密集地帯が、モンマルトルの麓にあるメトロAbesse(アベス)駅から、モンマルトルの丘とは反対方面にある、マルティル通り( Rue de Martyrs)界隈にあります。

パリの18区から9区まで延びるこの長いマルティル通りは、可愛いお店やカフェ、パティスリーがたくさんあるので、別名スィーツ通りとも呼ばれ、おしゃれなパリジャンやパリジェンヌで賑わっています。

この賑やかなマルティル通りを中心軸として、右や左に曲がる通りが幾つかあって、一歩入ると、アパルトマンが立ち並ぶ住宅街にしか見えないような通りに、センス溢れる小さな古着屋が点在しています。

そのなかでも、フランスのファンションインフルエンサー達が、今、一番ホットな古着屋さんと絶賛しているのが、「Célia Darling Vintage =セリア ダーリング ヴィンテージ」です。

30年以上のヴィンテージアイテムや、デザイナーズブランドだけでなく、形や生地、ディティールに、今の時代に出せないおしゃれ感のあるノーネームの古着が揃う店内は、ファッションウィーク期間中は、自分だけの1点ものを探しにやってくるモデル達で大賑わいです。

また、同じ界隈でMaison KITSUNÉ、Aseopなどがあるコンドルセ通り( 「RETRO CHIC=レトロ シック」「Chezel Vintage = シェゼル ヴィンテージ」という、小さくて可愛い古着屋さんがあります。

「RETRO CHIC=レトロ シック」では、シャネルの80〜90年代のバックなどが見つかります。状態も良いですし、ヴィンテージ感があるシャネルのショルダーバックは、おしゃれなパリジェンヌにとても人気です。コスパもいいですからね。

近くには、「RoseMarket Vintage =ローズマーケット ヴィンテージ」という古着屋さんもあります。メインは、デザイナーズブランドの衣類、アクセサリー、バック、シューズなどで、懐かしいTOKIO KUMAGAIのシューズなどに出会えたりもします。

9区のお隣、サンマルタン運河がある10区は、若いパリッ子に人気のエリア。運河沿いだけでなく、北駅や東駅の方へ続く小さな通りにも、どんどん新しいおしゃれなコンセプトショップや、インテイア、雑貨、カフェ、イートイン、Co-workingスペースが出来ています。

そんな10区に、パリのスタイリッシュな古着屋さんとして知名度抜群の「THANX GOD I’m V.I.P=サンクス ゴッド アイム ア ヴィップ」が、レディース店とメンズ店が隣同士に店舗を構えています。

レディースのショップは、この字型の2フロアの間取りで、フランス国内外から仕入れたハイクオリティの古着がびっしりとディスプレイされています。

清潔感のある店内には、カウンターとソファのカフェスペースもあり、ゆったりと思う存分レアなヴィンテージ品を探せるような工夫もされています。

DÉPÔT-VENTE=デポ-ヴァントと呼ばれるパリの古着屋さん

フランスには、「デポ-ヴァント=Dépôt-Vente」と呼ばれる委託販売システムの古着屋さんがあります。

パリには、ブランドの衣類やアクセサリー、シューズなどを取り扱うお店から、高級ジュエリーや腕時計専門と様々なタイプの「デポ-ヴァント=Dépôt-Vente」のお店が存在します。

多くの「デポ-ヴァント=Dépôt-Vente」は、ラグジェリーブランドに特化していて、殆どが、シャネル、ルイヴィトン、エルメスのフランス三大ブランドを目玉商品としています。

この3つのブランドで状態が良いものであれば、買い取るお店も多いようですが、基本は委託販売で、委託期間は、1ヶ月のところもあれば、半年、また、売れるまでのところもあるようです。

パリのチュエリー公園に近い、サントノーレ界隈に、高品質なハイブランドだけを取り扱う「デポ-ヴァント=Dépôt-Vente」の古着屋さん「WK accessoires= WK アクセソワール 」があります。

シャネルスーツをはじめとしたセレブマダム好みのセレクションで、いつ訪れても、新品のままや、ほとんど使用していないエルメスやシャネルのバックやシューズを見かけます。

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また、パリ2区のメトロSentir(サンティエ)駅近くに、今、若いパリッ子の間で大人気の古着屋デポ-ヴァント、「Bobby=ボビー」があります。着やすいCarvenやAPC、レペットなどのブランド、ZARAなどのファーストファッションなどの品を取り扱っています。

地下にメンズフロアもあり、店内は、いつも古着を探す若い子たちで賑わっています。エントランス付近にあるキャッシャーカウンターの前には、自分の服や靴を委託しに持って来ているパリッ子たちが列を作って並んでいます。ホント、フランス人って、モノを捨てないなぁって思います。(笑)

人が多いので、店内に引きつけられるように入ってしまうようなお店で、気軽さがあります。プチプラ古着のコンディションも良く、また、ファーストファッションの古着でも人気のスタイルなど、プレミア感あるものをセレクトしているので、ついつい、買ってしまうような雰囲気です。

パリの16区のポンプ通り(Rue de la Pompe)には、古着屋デポ-ヴァントの 草分け的存在「Reciproque=レシプロック」があります。

オレンジ色の看板が目印で、ジュエリーやメンズ、シューズ、衣類と4店舗が並んでいます。山のような高級ブランドの古着を取り扱っていますが、外から見ても店内もだいぶ古くさい感じがしますね。

パリッ子に親しまれている古着屋さん

フランス国内のストリートカジュアルの古着屋さんのパイオニア的存在「Espace Kiliwatch=エスパス キリウォッチ」があります。

メンズ、レディースの古着やリメイクもの、新品もの、アクセサリー、バックなどの品揃えで、店内には商品が溢れんばかりで、その迫力で消化不良を起こしそうです。

「Espace Kiliwatch=エスパス キリウォッチ」の特徴として、価格が高いと言う事があげられます。デザイナーズブランンドのユースドでもなく、また、年代物のデットストックのジーンズでもないのに、、、。

古着はインポートものだったり、元々クオリティーが高い商品なのかもしれませんが「えっ?高すぎない?」という印象を受けます。正直、そうクオリティーが高いようには見えないモノもあるような気がしますね。

キリウォッチの近くに「Mad Vintage= マッド ヴィンテージ」という古着屋があります。

この古着屋は、ボルドーやマルセイユをはじめとするフランスの地方都市に16店舗、パリ市内に7店舗も出店しています。こちらの方が、お手頃な古着もあるので、楽しくショッピングができます。

気軽に買えるパリの古着屋さんと言えば、カトリックの救済団体が作った「エマウス パリ=EMMAUS PARIS」という組合の古着屋があります。

フランスの人ならみんな、このエマウス組合の事は知っています。このエマウスでは、寄付で集められた衣類の古着や不要品や家具などの大きなリサイクル品まで売られています。

フランスの人たちは、着古した服や、要らなくなったモノを捨てないで、エマウスにリサイクルに出すケースが多いです。現在パリとパリ近郊には、10店舗ほどのエマウスがあります。市内は古着専門店も多く、また、郊外の店舗は、大規模なリサイクルショップになっています。

最後に、フランスでは、パリやパリ以外の都市でも蚤の市(フリーマーケット)が定期的に開催されています。パリには、モントルイユ、クリニャンクール、ヴァンヴーの3つの蚤の市があります。

モントルイユには、着古した日常服の古着やアンティークのようなガラクタのような雑貨を扱うブースもありますが、殆どが、地元の人のための生活雑貨用品です。

ヴァンヴーは、アンティークのインテリア雑貨やキッチンウェアがメインです。出店ブースの中にポツンと一つくらい、ブランドの洋服の古着屋のスタンドがありますが、商品自体も、保存状態もあまり良くないです。

2500のブースがあるフランス最大級のクリニャンクール蚤の市は、フランスでは、「サン・トゥアンの蚤の市=Marche aux puces Saint Ouen = マルシェ オ プュス サン トゥアン」と呼ばれます。日曜日は、パリ市内の商店の多くが休みなので、通末だけオープンしているクリニャンクールの蚤の市は、かなり観光地化されています。

お散歩しながら、年代物の家具やクリスタルや、色々なアンティークのパーツ、古い絵葉書やポスターなどのショップ、ヴィンテージや古着を取り扱うお店をを見て回るのも楽しいものです。旅の思い出になるようなアンティークものやお宝ものが見つかるかもしれません。

ただ、クリニャンクールの蚤の市に、古着屋さんだけが目当てで行くのなら、あまり期待しない方がいいと思いますが、、。

まとめ

今回は、フランスはパリの古着屋さんについていくつか紹介させていただきました。フランスで古着やヴィンテージの流行が下火になることはないくらい、みんなユーズドの衣服や小物が大好きです。

若いパリジャンやパリジェンヌは、すっきりしたインテリア空間が好きなので、部屋のクローゼットに洋服が入りきらなくなる前に、断舎離=リサイクルなのです。

そんな彼らは、一つ手に入れたら一つ手放すように、ワードローブの回転率がとても早いです。おしゃれも大好きなので、頻繁に古着屋さんに通っては、ユーズドものを探しています。

自分のコーディネートに1点だけヴィンテージのモノをプラスして、洗練された自分らしさを演出するのが上手なのでお手本にしたいですね。

古着屋さんも、仕入れには、苦労しているようで、フランス国内だけで、これだけのユーズドものを揃えるのは、難しので、あの手、この手で、バイヤーは商品を探しています。

ネット社会の今、フランスの古着屋さんも日本の古着屋のネットから買い付けることもあるそうです。(笑)

フランス旅行の醍醐味でもあるブランド物ショッピングとは、また少し違ったお買い物が楽しめるのがパリの古着屋さん巡りです。

地元の人たちと同じように、古着屋さんで、自分だけの宝物を探す!、シャネルのヴィンテージバックを探し回る!などのテーマを決めて過ごすパリもいいと思いますよ。